故人の遺言書が見つかった場合には、基本的にその遺言書の内容に沿った相続手続をとる必要があります。
今回は遺言書がある場合で、遺産分割協議が必要なケースをご紹介します。

遺言の内容が相続分の指定である場合
相続分の指定とは、「相続財産の5分の1を○○に相続させる」というように、法定相続分とは異なる割合の相続分を定めることです。
具体的にどの相続財産(土地、現金、預金、車・・・)を誰に相続(遺贈)させるかを遺産分割協議で話し合う必要があります。
相続人全員の同意がある場合
原則として相続人は遺言書の内容に従った相続手続をとることとなります。
しかし、相続人全員(包括受遺者も含む)の同意がある場合には、遺言書とは異なる遺産の分割を協議することができます。
ただし、遺言執行者がいる場合いは遺言執行者の同意も必要となります。
遺言執行者とは?
遺言の内容を実現するために、一定の行為を行う職務および権限を持つ者です。
遺言者が遺言書で指定するか、家庭裁判所が選任することで就任します。
参考 遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿は犯罪です!
遺言書の内容が自分の思いどおりでなかったからといって、遺言書を破棄したり、隠したり、内容を書き換えたり、遺言書を偽造してはいけません。
遺言の偽造等をした場合には相続欠格といって、相続人となることができなくなるだけでなく、他の相続人や受遺者から損害賠償請求がされることもあります。
また、有印私文書偽造罪や私用文書毀棄罪といった罪に問われる可能性もあります。
遺言書に財産の漏れがある場合
遺言書に記載されたもの以外に財産がある場合などは、その財産を誰が相続するかを協議する必要があります。
金融機関の口座を解約する場合
金融機関の口座の解約をする場合には、金融機関窓口で「遺産分割協議書」を提示するように求められることがほとんどです。
検認済み遺言書を持参しても、預貯金の払戻しや解約を拒否されることもあります。
遺言書の内容に異議が無い場合でも、相続人全員が遺言書の内容で相続することに同意した旨の遺産分割協議書を作成しておくことをおすすめします。
相続税の申告が必要な場合
相続税の申告が必要な場合にも遺産分割協議書の提示を求められるケースがあります。
例えば以下のような特例を受ける場合です。
・配偶者に対する相続税額の軽減
・小規模住宅地等の特例
・農地、山林、個人事業用財産の納税猶予
・相続税の物納
相続後のトラブルを防止する場合
遺言書がある場合であっても、後に相続人間でトラブルになることを防ぐためにも、全ての相続人が遺言書の内容に同意した旨の遺産分割協議書を作成しておくことをおすすめします。
まとめ
遺言書が見つかった場合でも、遺言書の内容に必ずしも拘束されるわけではありません。
しかし、金融機関の口座の解約など「遺産分割協議書」の作成を必要に迫られる場合もあります。
また、相続トラブルを避けるための相続人間の合意形成という意味でも遺産分割協議書の作成をおすすめします。
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