就職をして結婚をして子供をもうけて、マイホームを建てて・・・といった日本人の画一的な家族像や人生観は、時代の変容とともにより多様なものとなっています。
おひとり様でも十分楽しく充実した人生を送ることができる。
しかし、そんな時代にあっても、身寄りのない人の老後のリスクはついて回ります。
今回はおひとり様の老後のリスクと対策についてご紹介します。
おひとり様の老後のリスク
おひとり様の老後には様々なリスクが潜んできます。
家族や親戚を頼ることのできない身寄りのない人ではなおさらです。
孤独死のリスク
おひとり様は、同居人が居ないことによって、死亡の発見が遅れてしまうことが考えられます。
いわゆる「孤独死」の問題です。
自身の遺体の発見が遅れることなど、考えただけでも悲しい気持ちになってしましますよね。
しかし、おひとり様であれば考えておかなければならない厳しい現実です。
後を絶たない孤独死
私は行政機関での勤務経験がありますが、孤独死が後を絶たない状況でした。
福祉関連の部署に所属する知人によれば、独り暮らしの高齢者が亡くなるケースに毎月のようにあるということです。孤独死された方の遺骨は自治体の保管庫にあふれているとのことです。
孤独死された場合は、医師によって死亡診断ではなく死体検案がされます。私自身、そういった死体検案書が添付された死亡届を何度も目にしました。
身元引受人のいないリスク
身元引受人になってくれる家族等がいないことで、身寄りのない人は社会生活を営むうえで様々な問題が生じます。
例えば、病院に入院するときや施設に入所する場合には身元引受人が必要なケースがほとんどです。
治療代や施設利用料を支払える資力は十分にあるのに、身元引受人がいないばかりに入院・入所を断られるケースが後を絶ちません。
認知症のリスク
認知症になると、ご本人の判断能力の低下により、社会生活に様々な支障が出ることになります。
例えば、財産の管理(貴重品の保管、不動産の管理など)、諸費用の支払い(家賃、医療費、税金の支払いなど)、行政手続(要介護認定の申請、諸証明の取得など)などです。
認知症になったときに、誰が上記のような手続をとってくれるのでしょうか。
死後のリスク
身寄りのない人が亡くなった後も様々な手続だけが残されます。
例えば、葬儀・火葬・埋葬、相続手続、入院費・施設利用料の精算、各種サービスの解約などです。
亡くなった方が自分の望むような葬儀を実現するためには、誰か信頼できる人に頼むしかなさそうなものです。

身寄りのない人の老後リスクには予め備えることができる
ここでは上記のような身寄りのない、おひとり様特有の様々なリスクへの対策を紹介します。
孤独死のリスクには ⇒見守り契約
行政書士等の専門家や信頼できる知人などと見守り契約を結ぶことで、面談や電話で通話することによりご本人の生活状況や健康状態を見守ってもらうことができます。
また、見守りを通じて、判断能力が低下してきたときには任意後見契約(予め結んでおくことが必要)を開始してもらうこともできます。
身元引受人のいないリスク ⇒身元保証人サービスや見守り契約・任意後見契約
民間会社や専門家による見守りサービスを受けることで、入院や入所、あるいは賃貸契約での身元引受人を確保する方法があります。
また、専門家や信頼できる知人等の見守り契約・任意後見契約で対応することも可能です。
認知症のリスク ⇒見守り契約・任意後見契約
認知症リスクにも見守り契約・任意後見契約が有効です。
行政書士等の専門家や信頼できる知人等を予め後見人と定めておくことで、判断能力が低下した後も必要な手続等を後見人に代わりにしてもらうことができます。
死後のリスク ⇒死後事務委任契約、遺言書
死後のリスクには死後事務委任契約がおすすめです。
行政書士等の専門家と契約を結んでおくことで、死後に必要となる様々な手続を代わりに行ってもらうことができます。
また、遺言書であれば相続財産の分配等についても自分の望みをかなえることができます。

備えあれば憂いなし
生き方が多様になった昨今においても、老い方、人生の終い方への心配は消えることがありません。
しかし、自分が心配に思うことに対して前もって備えることはできます。
自分が望む人生を生き、自分が望むように老い、自分が望むように人生を終うために1人1人が備えなければならない時代なのかもしれませんね。
すずかけ行政書士事務所では、見守り契約や任意後見契約、死後事務委任契約、遺言書の作成等を承っています。
こちらからお気軽にご相談くださいませ。