今回は、代理人が公共機関で被代理人に代って手続をする際に提出が必要とされる委任状の代筆について紹介します。
代理人が行政手続をとるには委任状が必要なことも
代理人の方が行政手続をとるためには、原則として委任状が必要となります。
ただし、手続の内容等により委任状が不要なこともあります。
委任状が不要なケース
・法定代理人(※)が手続をとる場合
・同一世帯の方の住民票を取得する場合
・印鑑登録証明書を預かった代理人・・・
(※)法定代理人
法定代理人は当然に手続を代理することができます。
法定代理人が手続を代理する場合には、自身が法定代理人であることを証明する必要がある場合があります。
例えば、親権者が自分の子に代って行政手続をする場合には戸籍謄本等の親子関係が確認できるものの提示を求められる場合があります。
法定代理人の種類 | 代理権を証明する書類 |
親権者 | 戸籍謄本(戸籍抄本) |
未成年後見人 | 戸籍謄本(戸籍抄本) |
成年後見人 | 成年後見登記事項証明書 |
委任状を作成するのは申請者本人
委任状を作成できるのは原則として委任者本人です。
委任状が必要となる行政手続で、代理人が委任状を作成することはできません。
委任者が委任状を作成し、署名捺印をすることとなります。
※最近は、捺印を求めない場合も増えています。
委任者が委任状を作成できない場合
では、委任状を委任者本人が作成できない場合はどうすれば良いのでしょうか?
作成できない理由により代筆が認められる場合も
委任状を作成することができない理由によっては、委任状を代筆することを可能となる場合があります。
例えば、住民票や戸籍謄本等の窓口請求をする際に、多くの市区町村ではやむを得ない場合には委任状の代筆を認めています。
代筆を認める場合、代筆の理由の記載や申請者本人の拇印を求められる場合が多いです。
代筆が認められるケースと認められないケース
認められるケース | 認められないケース |
・本人が障がいで文書を作成するのが困難な場合 ・本人が高齢者で文書を作成することができない | ・本人が忙しくて委任状を作成する暇がない ・本人が単身赴任中のため代筆で作成したい ・字が下手なので代筆で委任状を作成したい |
各自治体の代筆による委任状の記入例



委任状を代筆する場合に注意すること
①委任状は必ず委任者本人の意思で作成すること
委任状の代筆が認められる場合は、委任者本人にその行政手続を委任する意思があることが重要です。
委任者本人に委任の意思が無い場合には、委任状を代筆できません。
本人の意思が無いのに委任状を作成した場合には私文書偽造の罪に問われる恐れがありますし、本人の意思を欠く代理行為も無権代理となります。
②代筆者は代理人以外の第三者
代筆が可能な場合でも委任状は第三者が作成する必要があります。
第三者とは、委任者本人と代理人(受任者)以外の者です。
委任状の代筆が可能かどうか必ず提出先に確認を
委任状の代筆が可能かどうかは、提出先の公共機関により異なります。
よって、市町村ごとにルールが異なる場合もありますので注意が必要です。
申請者の利便性と本人確認に厳格性を比較して、代筆を認めない場合もあります。
委任状を代筆できるかどうかは必ず提出先に確認するようにしましょう。
委任状のローカルルール
委任状の作成については、市町村によってかなり違うのが実態です。
そもそも、委任状や代理人選任届の様式は法規で定められたものでは無いからです。
例えば、委任状は署名捺印の場所以外は、パソコン作成OKとしている自治体もあれば、全文を自書しなければいけないとしている自治体もあります。
署名欄についても、署名捺印を求める自治体と、署名だけを求める自治体、捺印だけでもOKとしている自治体もあります。
まとめ
今回は、委任状を委任者本人が作成できない場合の代筆について紹介しました。
委任状を代筆できるかどうかは、提出先の窓口へ問い合わせましょう。
また、委任状を代筆する場合には必ず①委任者本人の意思に従う②委任状の作成は本人及び代理人以外の第三者という点に注意して作成しましょう。
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