さて、今回は改正戸籍法(令和元年5月24日成立)にともなって戸籍関連の行政手続が便利になる件について紹介します。
本籍地以外で戸籍謄本・戸籍抄本の発行が可能に
現在の戸籍制度において、私たちが戸籍謄本・抄本(戸籍全部事項証明書・一部事項証明書)を取得するには、本籍地の市町村へ交付請求をする必要があります。
よって、戸籍謄本・抄本が必要な場合は、本籍地の市町村窓口へ足を運ぶか、コンビニ請求(一部の市町村)、または郵送で交付請求する必要がありました。
しかし、令和5年からはどこの市町村窓口からも戸籍謄本・抄本の請求が可能となります。(広域交付戸籍証明書)
「住所地」と「本籍地」
住所地は私たちが住民登録をしている市町村です。
一方の本籍地は私たちの戸籍を管理している市町村です。
本籍地は住所地とは必ずしも同じものとは限りません。
(例)住所地 ⇒ 福山市、 本籍地 ⇒ 広島市
注意1 全ての戸籍を取得できるわけではない
相続等で使用する古い戸籍については、電子化されておらず相変わらず本籍地の市町村へ請求する必要がありそうです。
注意2 請求できる戸籍の範囲は限られる
この制度を利用して交付請求できる戸籍は自分、配偶者、父母、祖父母、子に限られます。兄弟姉妹の戸籍は×

専門家に頼んだ方が良いケースも
相続等の手続で使用する戸籍謄本は、上記の理由から最寄りの市町村役場の窓口では全て揃えることが難しいと思われます。
また、そもそもどの人が相続人になるのか判断することは難しいことです。
相続等に使用する戸籍謄本等の請求は専門家である行政書士等に委任する方が良いでしょう。
すずかけ行政書士事務所では自治体で戸籍事務に携わっていた行政書士が相続に関する手続や遺言書に関する手続の代行を承っております。こちらからお気軽にお問合せください。
婚姻届などの届出に戸籍謄抄本の添付不要に
私たちが、本籍地以外の市町村役場で婚姻届をはじめとした戸籍の届出をするためには本籍地で発行した戸籍謄本(または抄本)の添付を求められます。(正確には添付は必須ではないが、通常より戸籍の処理に多くの時間を要する)
しかし、令和5年からは戸籍謄本・抄本の添付をする必要がなくなります。
これは、戸籍情報連携システムが整備され、いずれの市町村の窓口でも届出人の戸籍情報を閲覧することができるようになるためです。
オンラインによる行政手続で「戸籍電子証明書」が発行可能に
オンラインによる行政手続(電子申請)で戸籍関連の証明書を添付する必要がある場合には、本籍地市町村にオンラインで「戸籍電子証明書」の発行を請求します。
すると、私たちはパスワードを取得することができ、このパスワードをオンラインによる行政手続の申請時に提出すれば良いことになります。

まとめ
いかがでしょうか?
今回の戸籍法改正で、戸籍謄本・抄本を本籍地に請求せずとも最寄りの市町村窓口で交付請求すれば取得できるようになるようになりました。
また、戸籍情報連携システムの運用開始により、そもそも戸籍謄本や戸籍抄本を申請に添付する必要がなくなる手続も増えることが考えられます。