国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料2022年版」によれば、2020年時点で50歳時に未婚、死別、離別を理由とする配偶者を持たない人の割合は30%を超えています。
これは、約3人に1人が50歳時におひとり様ということになります。
また、未婚である人の割合も男性で約28%、女性で約18%となっています。
おひとり様で頼れる人がいない場合にはどのような終活をしておくと良いのでしょうか。
今回はおひとり様の終活について紹介したいと思います。
おひとり様の様々な不安
おひとり様に家族や頼れる知人などがいない場合には、様々な不安があります。
・病院・施設での身元引受人の不在
・認知症のリスク
・介護サービスの手配
・税金の支払い
・財産の管理
・終末期医療での意思表示
・孤独死のリスク
・死後の葬儀・埋葬
・死後の自宅の片付け
・死後の預金口座解約
・財産の処分方法
今できることは今のうちに
まだまだ元気だから大丈夫と思っていても、急なケガや病気で思うような生活ができなくなってしまうことも考えられます。
大切なのは自分が心身共に元気な時から自分の老後や死後のことに向き合うことです。
今から自分できる終活実例
①エンディングノートの作成
エンディングノートというと、「自分が亡くなる時のことを書き記しておくもの」ととらえられがちですが、それは少し違います。
エンディングノートの記載されることは、「今までの自分」「今の自分」「将来の自分」について自由に記載することができます。
また、もしもの時に自分の意思や希望をスムーズに伝えることができます。
エンディングノートへの記載項目の例
・自分史
・家族のこと
・学歴や職歴
・親しい友人
・趣味
・住所、生年月日、血液型
・マイナンバー
・好きな食べ物
・アレルギー
・持病
・普段服用している薬
・緊急連絡先
・かかりつけ医
・財産や資産の目録
・様々なサービスのIDやパスワード
・ペットについて
・終末期の延命措置の希望
・介護における希望
・葬儀における希望
・相続について
・遺言書の保管場所
・知人へのメッセージ
エンディングノートは様々なタイプのものがありますので、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。
書店やホームセンターでも取扱いがある他、市町村でも無料で配布していることがあります。
⇒「遺言書とエンディングノートの違いと役割」(サイト内リンク)
②身元保証人や身元引受人を見つける
身元保証人や身元引受人を見つけておきましょう。
病院に入院する場合や、施設に入所する場合には身元引受人が必要になるケースがあります。
親族や知人等に頼れない場合は、行政書士や司法書士といった専門家に依頼することもできます。
③身の回りのモノの整理
身の回りのモノを整理しておくことも大切です。
身の回りにモノがあふれていると、大切なものの保管場所がわからなくなったり遺品整理も大変になってしまいます。
身の回りをすっきり整頓しておけば、生活もしやすくなります。
④葬儀・埋葬について決めておく
自分が亡くなった後に、どのような葬儀をあげて欲しいのかを考えたうでで葬儀社や葬儀の方法、埋葬方法を決めておくと良いでしょう。
決めたことは、エンディングノートに記載しておくとよいでしょう。
自分の不安に合った制度で備える
遺言書の作成
遺言書を作成しておくことで、自分の財産の承継者を決めておくことができます。
また、遺言執行者(死後に遺言の内容を遺言者に代って実現してくれる人)を定めておくこともできます。
また、ペットを飼っている方については負担付遺贈(ペットの面倒をみてもらう代わりに財産を贈与する)などを定めておくこともできます。
⇒「飼い主が亡くなったら?ペットと相続の話」(サイト内リンク)
上記のエンディングノートに相続人等を記載しておいても法律上は効力がありません。
自分の死後の財産の処分方法は遺言書で指定しておく必要があります。
⇒「遺言書とエンディングノートの違いと役割」(サイト内リンク)
財産管理等委任契約
財産管理等委任契約は、本人の判断能力が十分でも、金銭等の財産の管理に不安がある方は、親しい人や行政書士等の専門家と財産管理等委任契約を結ぶことで、月々の支払の代行や病院入院・施設入居の金銭の管理をまかせることができます。
任意後見契約
これは、本人に判断能力があるうちに、自分が信頼できる人や行政書士等の専門家に自分の判断能力が衰えてきたときに、本人に代って必要な契約の締結や財産管理などをお願いしておく契約です。
後見人に委任する内容や報酬は自由に決めることができます。
見守り契約
多くは「任意後見契約」とともに結ばれる契約です。
契約者が定期的に電話や訪問を通して、本人の健康状態や生活状況を確認する契約です。
病院への付き添いや緊急連絡先として指定するなど比較的自由に内容を決めることできます。
また、本人に判断能力が低下した場合には任意後見の開始することができます。
死後事務委任契約
死後事務委任契約は死後の様々な手続を第三者にしてもらうための契約です。
例えば、死亡届の提出、葬儀の手配や入院費の精算、様々なサービスの解約、免許証等の返納など希望する内容で契約することができます。
契約を結ぶ相手は、信頼できる知人や行政書士等の専門家になります。
まとめ
おひとり様の終活は、不安もたくさんあることと思います。
しかし、それに応じた対策を今のうちからしておくことで、老後や死後の不安の解消につながるばかりか、残された人生をより充実したものにできるのではないでしょうか。
すずかけ行政書士事務所では、遺言書の作成、任意後見契約や見守り契約、財産管理等委任契約、相続手続などお客様に合った諸手続のサポートを承っております。
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